『コクリコ坂から』(2011年)

事実を小出しにせず、最後にまとめて大どんでん返しにしたほうが盛り上がったと思うがなぁ。最後は軽いアクション場面で無理やり盛り上げた感がある。特にSFX場面もないので、実写版のアイドル映画にしたほうが似合いそう。原作漫画から大きく設定を変えてい…

『夢と狂気の王国』(2013年)

『風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』制作時におけるスタジオジブリの様子を描いたドキュメンタリー。といっても、『かぐや姫の物語』についての話は「スケジュールどおりに進まないなぁ」みたいな話ばかりで、監督の高畑勲氏もほんのちょっとしか登場しない。…

『ゲド戦記』(2006年)

原作の改変というより、原作の要素を切り貼りしてできた映画という印象。もうひとつの隠れた原作という『シュナの旅』は、主に服装や動物を参考にしているのだろう(『シュナの旅』は『ナウシカ』や『もののけ姫』の元ネタにもなっている)。原作の『ゲド戦…

『思い出のマーニー』(2014年)

ジブリの原点のひとつともいえる世界名作劇場を想い起こさせる雰囲気の映画。謎解き部分は素直に楽しめたし、驚いた。ただ、主人公杏奈の「こじらせ」具合が見ていて痛々しくて、共感しにくかった部分もある。いやもちろん、こういう人もいるのだろうけど。…

『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)

観終わった後この映画をどう解釈すればよいか悩んでいたところ、昭和時代の学生運動や左翼運動の隠喩という説を読んで、なるほどと思った。監督の高畑勲の真意は知らないが。面白い場面は多かったけど、全体として面白かったというとどうかなぁ。いずれにせ…

『おもひでぽろぽろ』(1991年)

高畑勲監督作品。農村問題の描き方は今見ると陳腐に感じられるのだが、公開当時のバブル期だとそうでもなかったのかな。また、主役の(大人時代の)タエ子がウブすぎるのも気になった。相手役のトシオの下心なんて最初から見え見えだったと思うがなぁ。原作…

『火垂るの墓』(1988年)

上映当時観たような気がしていたが、結局観ていなかったようだ。で、観た。監督の高畑勲が語っていたとおり、これは反戦映画ではないね。なんらかの理由で家族や親戚を頼れない状況になった場合、現代でも起こり得る悲劇だと思う。というか実際に起こってい…

『かぐや姫の物語』(2013年)

監督の高畑勲が言いたかったことを全部理解できたとは思わないのだが、人間賛歌、自然賛歌の映画として見た。欠点はあっても、いや欠点があるからこそ、生命はそれ自体が美しい、みたいな。そういった意味では漫画版『風の谷のナウシカ』と通底するものがあ…

『風立ちぬ』(2013年)

最後はとにかく泣けた。こんなに泣けた宮崎駿作品はたぶんこれだけ。堀辰雄の『風立ちぬ』の内容を脳内補完(?)してしまったからかもしれない*1。大人向け作品としてつくられたとのことで、生きる希望が湧くというよりは、人生のたそがれを感じさせる内容…

『借りぐらしのアリエッティ』(2010年)

人間を恐れつつも人間の食料や生活用品を「借り」て暮らしている小人たちの物語。監督は米林宏昌で、宮崎駿が企画と共同脚本を担当している。メアリー・ノートンの小説『床下の小人たち』が原作。映画では舞台を現代日本に移しているが、小人たちはコーカソ…

『崖の上のポニョ』(2008年)

奇想天外な物語だけど、子どもの向けの絵本とかにはしばしばこんなぶっ飛んだ展開の話があるよね。ただ、物語には多くの隠喩を含んでいるようだ。ネットではオカルトっぽい解釈をしている記事もあって、それらがすべて正しいとは思わないけど、確かに場面に…

『ハウルの動く城』(2004年)

前半は楽しく観たのだけど、後半は内容がよく分からなくなって置いてけぼり状態……。あとでネットでいろいろ調べてそれなりに意味は分かったのだけど、初見でしっかりと内容が分かる人はどれくらいいるのかな。宮崎駿作品でこんな気分になったのは初めて。特…

『千と千尋の神隠し』(2001年)

濃密で独特な世界観に圧倒された。よくぞこんな世界を思いついたねぇ。宮崎駿はこの作品で本当の巨匠扱いされるようになったと記憶している。彼の最高傑作のひとつなのは間違いない。これまでの宮崎作品と違うのは、主人公の女の子(千尋、別名「千」)があ…

『耳をすませば』(1995年)

いやー、甘酸っぱいね、青春賛歌だね。少女漫画が原作ということもあり、やっぱり少女向きの内容。まだ純真な女の子なら、こんな男の子と出会って恋をしたいと思うだろう(たぶん)。生活描写が細かいことには感心した。特に主人公の月島雫の自宅の狭くてゴ…

『もののけ姫』(1997年)

公開当時に観たはずだが、内容はすっかり忘れている。こんなに忘れるものなのかと自分で呆れるやら感心するやら。舞台は日本の室町時代中期くらい。神が生きていた中世と神が死んだ近現代、自然保護と経済振興、そういった対立が本作品の主題だろう。そこに…

『風の谷のナウシカ』(1984年)

ほぼ30年ぶりにこの映画を観る。内容はかなり忘れていた。映画を観るに先立って初めて原作漫画を読んでみたのだが、漫画の最初の部分しか映画化対象になっていないことはともかくとして、うわさどおり内容もかなり違うね。漫画と比べると物足りないという感…

『紅の豚』(1992年)

ヒロインが大人の女性(ジーナ)という宮崎駿作品の中では異色作。ジーナ役の加藤登紀子の声のセクシーさには驚いた。とはいっても本作品でトリックスター的な大活躍をするのは10代の若い女の子(フィオ)で、そういった意味では従来の宮崎駿作品とあまり変…

『魔女の宅急便』(1989年)

角野栄子の同名の児童書が原作だが、内容はだいぶ変わっているらしい。主人公の魔女の女の子(キキ)が成長していく物語で、女性が原作ということもあり女性にも受けが良さそうな作品のような気がする(実際のところは知らない)。とにかく健気でかわいらし…

『となりのトトロ』(1988年)

基本的には小さい子ども向け作品だろうけど、大人が観ても楽しめる。さすが宮崎駿は大事なところは外さないなと。病気の母親を心配する子どもたち(サツキとメイ)の描写が特に秀逸だと思った。ところで、サツキの声が日高のり子なので、どうしても『タッチ…

『天空の城ラピュタ』(1986年)

久しぶりの更新なので、日記の書き方を忘れかけている。最近は宮崎駿の作品をよく観ている。いま40代以上の人は、年齢的にあまり宮崎駿の作品を観ていないのではなかろうか。私もそのひとりだったのだが、現代の日本の巨匠のひとりなのは間違いないだろうか…

横浜美術館「ドガ展」

丰盛国际官网 終了前の年末ということもあり、行列が屋外まで続いていて、30分ほど並んだ。好天の比較的暖かい日で良かった。個人的には、とにかくパステル画の『エトワール』に尽きるなぁ。もう少し大きな作品だったら鑑賞しやすかったのに(当日は混んでい…

国立新美術館「没後120年 ゴッホ展 こうして私はゴッホになった」

http://www.gogh-ten.jp/ 没後120年 ゴッホ展 こうして私はゴッホになった|企画展|展覧会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO 平日だけど、終了間際ということもありけっこう人が多かった。これは週末に行くとたいへんなことになりそうだ。 本…

国立新美術館「未来を担う美術家たち DOMANI・明日展2010」

未来を担う美術家たち DOMANI・明日展2010 <文化庁芸術家在外研修の成果>|企画展|展覧会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO http://domani2010.com/ 文化庁が若手芸術家を海外に派遣する制度があるんだそうで、本展はその芸術家のうちの12人の…

東京国立博物館「東大寺大仏―天平の至宝―」

東京国立博物館 http://todaiji2010.jp/ とりあえず仏像については、快慶の作品が多く来ていた。僧形八幡神坐像(国宝)は、右手の小指が立っているのが気になるなぁ(汗)。 僧形八幡神 快慶 - Google 検索 俊乗堂の阿弥陀如来立像(重文)は、スタイルが良…

金沢文庫「仏像のみかた」

http://www.planet.pref.kanagawa.jp/city/bunko/Kanazawa.htm 久しぶりに来た金沢文庫。まずは、横須賀・大善寺の伝・毘沙門天立像(鎌倉時代)が大きく展示されていた。中尊寺金色堂様式の仏像なのだそうな。 平泉・中尊寺様式の仏像を鎌倉の古刹で発見!…

鏑木清方記念美術館「主情派、清方の美」

鎌倉市鏑木清方記念美術館 5年ぶりくらいの鎌倉。修学旅行生なのかな、人が多いね。まずは念願の鏑木清方記念美術館に行ってみた。 むむむ、かなり、狭いんだな。展示作品数も少なく、しかも下書きが多かった。まあ下書きは、特に自分で絵を描く人には参考に…

鎌倉国宝館「薬師如来と十二神将」

薬師如来と十二神将 - 鎌倉国宝館 とにかく薬師如来と十二神将をいっぱい集めた企画。こういう企画は珍しいね。 一番の主役は、もともと辻薬師堂にあって鎌倉国宝館に移管された薬師如来(平安時代)と十二神将だろう。 薬師如来は、地方仏風の下膨れの顔の…

宝戒寺、杉本寺、報国寺

[rakuten:book:13665117:image] 時間が余ったので、少しお寺を回ってみることにした。 宝戒寺は、比較的仏像を見やすいお寺。中尊の地蔵菩薩坐像(南北朝時代・重文)は、院派の仏師・憲円の作だそう。梵天と帝釈天も同時代の作で、この時代らしい美形の仏像…

根津美術館「南宋の青磁 宙をうつすうつわ」

根津美術館 南宋の龍泉窯の青磁を集めた企画展。国宝や重要文化財の磁器もある。 ただ、同じ時代の同じ窯の作品を集めた企画展なので、素人の私には全部いっしょに見えてしまうのだった……。うーん、焼き物の世界を楽しむにはもうちょっと精進が必要なようだ…

三井記念美術館「円山応挙 空間の創造」

三井記念美術館 ミスター日本画ともいうべき人。大作が中心なので、展示数は少ない。あと、細かく展示替えをしているね。 私が気に入ったのは、運良く展示期間中に見られた『山水図屏風』。円山応挙はこんな感じの細かく描き込んだ作品が魅力的だと思う。 展…