『思い出のマーニー』(2014年)

思い出のマーニー [DVD]

ジブリの原点のひとつともいえる世界名作劇場を想い起こさせる雰囲気の映画。謎解き部分は素直に楽しめたし、驚いた。

ただ、主人公杏奈の「こじらせ」具合が見ていて痛々しくて、共感しにくかった部分もある。いやもちろん、こういう人もいるのだろうけど。

そこで、原作の小説版『思い出のマーニー』も読んでみた。うむ、なるほど。原作版アンナ(原作は舞台がイギリスなのでイギリス人)は、映画版杏奈ほどは「こじらせ」ていないね。このくらいの内向的な子どもはよくいる。これなら共感できる。

杏奈についてもうひとつ気になったのは、映画版杏奈と原作版アンナの年齢の違い。映画版杏奈は中学1年生だそうだが、原作版アンナは小学3、4年生くらいに思える。映画版杏奈は見た目は妙に色っぽい(?)のに行動が子どもっぽいところがあったので、そのへんも共感しにくかった理由のひとつかも。

映画は(舞台をイギリスから日本に変更したことも含め)原作をかなり改変しているが、そのわりにはそこそこうまくまとまっているようには思った。ただ、映画版だと「輪」の外側とか内側とかの話が冒頭にしか出てこないので、最後にもう一度言及したほうがまとまりが出た感も。

監督は米林宏昌。前作の『借りぐらしのアリエッティ』よりは良い映画だったのでは。

映画版の挿入曲としてなぜフランシスコ・タレガの「アルハンブラの思い出」 が使われたのかが不思議だったのだが、どうやら原作にスペインに関する言及が少しあるようだ。