『夢と狂気の王国』(2013年)

夢と狂気の王国 [DVD]

風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』制作時におけるスタジオジブリの様子を描いたドキュメンタリー。といっても、『かぐや姫の物語』についての話は「スケジュールどおりに進まないなぁ」みたいな話ばかりで、監督の高畑勲氏もほんのちょっとしか登場しない。

風立ちぬ』の制作はこの映画上は大きな問題なく進んでいるように見える(実際にどうだったのかは知らない)。監督の宮崎駿氏も総じて機嫌が良さそうだ。宮崎駿氏とプロデューサーの鈴木敏夫氏の貧乏ゆすりも今回はそれほど目立たない。

ギリギリの状況でつくっていたように見えた『「もののけ姫」はこうして生まれた。』のほうが、ドキュメンタリーとしては見せ場は多かったように思う。もっとも、『もののけ姫……』のほうは6時間以上の長編だから、単純な比較はできないけど。

そういった意味では、難航していたであろう『かぐや姫の物語』の密着ドキュメンタリーのほうが面白そうなのだが、高畑勲氏は取材されるのを嫌がったのだろうなぁ。

宮崎駿氏が愛煙家なので、スタジオジブリ分煙化は進んでいなさそうだ。その点は前世期的な仕事場だと思った。彼の部屋だけが特別なのかもしれないが。

このあと2014年に制作部門が解散したということもあり、古き良き(?)スタジオジブリのほぼ最後の姿を記録した映画ともいえるだろう。