上野の森美術館「聖地チベット−ポタラ宮と天空の至宝」

チベット密教の本―死と再生を司る秘密の教え (NEW SIGHT MOOK Books Esoterica 11号)

上野の森美術館にはそんなに良い印象がないのでどうかと思っていたが、なかなか面白い展示内容だった。
やはり仏像は数多く展示されていて、古いものは5世紀とか7世紀くらいのものがある(そういう古いものの製造国はたいていインド周辺)。また、ほぼ全部銅製である。彩色が鮮やかだが、たぶん後補だろう。
日本では十一面観音や千手観音の頭上面は小さく作られているものだが、チベットでは頭上面もかなり大きい。結果、異形度がさらに高まっている。
この企画展の最大の見所は、いくつかあるいわゆる「父母仏」だろう。男女が抱き合った姿の仏像で、日本に伝わっているものだと象が抱き合っている歓喜天が近い。
特に、大きな『ヤマーンタカ父母仏立像』の下半身をよく見てみると…、うーん、しっかり入ってますねぇ(汗)。後期密教やタントラは、こうなんだよね。展示の説明書きには、その手の性愛的な説明は特になされていなかった。
仏像以外にも、色鮮やかな絹織物のタンカや、きらびやかに装飾された仏具等も見ごたえがあった。