国立新美術館「オルセー美術館展2010 ポスト印象派」

Van Gogh, Gauguin, Cezanne, and Beyond: Post-Impressionist Masterpieces from the Musee D'Orsay

オルセー美術館展は3年前にも開催されている。今回のほうが作品は豪華みたい。

クロード・モネの『ロンドン国会議事堂、霧の中に差す陽光』は、写真だと魅力がわかりにくいであろう作品。今回の展示は保護ガラスが入っていない作品が多く、この作品もそう。特にこのモネの作品はガラスがあったら魅力が半減だろうなぁ。

アメリカ人のジョン・シンガー・サージェントの『ラ・カルメンシータ』は、往年のスペイン画のような人物画。絵自体も大きいので貫禄十分である。「どや顔」も素敵。

大きな人物画といえば、アルベール・ベナールの『ロジェ・ジュルダン夫人』も素敵。ロジェ・ジュルダン夫人はジョン・シンガー・サージェントも描いているようで、当時評判の美人だったんじゃないかな。

点描技法は色がにごらないのが利点なのだろうが、そのぶん絵がメルヘンチックになってそんなに好みではない。ただ、ポール・シニャックの大きな作品である『井戸端の女たち』は、青色と黄色の対比が素晴らしい。あと、作品に合った額縁も良かった。

前回のオルセー展でも感心したポール・セザンヌの『ギュスターヴ・ジュフロワ』だが、今回も大感激。こういう作品はマネにも多いが、色遣いははるかに複雑。服や背景の本の色遣いに感心した。

暖色を多く使うポール・ゴーギャンに対し、フィンセント・ファン・ゴッホは寒色も多く使うのでより私好み。会場でも一番人気だった『星降る夜』は、誰が見ても美しいと思う作品だろう。

Maurice Denis
ナビ派モーリス・ドニの大きな作品である『ミューズたち』は、手前の女性の白い肌が魅力的。ドニの作品は深い意味がありそうなものが多く、単独の企画展を見てみたいと思った。

フェルナン・クノップフの『マリー・モノン』も、小品ながら目を惹いた作品。奥と右手の壁の色が好き。

というわけで、1,500円の価値は十分にある企画展なのではなかろうか。