根津美術館「いのりのかたち 八十一尊曼荼羅と仏教美術の名品」

曼荼羅の世界とデザイン―ほとけの「かたち」と「こころ」を知るために

この企画展は、収蔵品の中から仏教関連のものを選んで展示したというところだろう。

まずは仏像。中国・北魏時代の『釈迦多宝二仏並坐像』は、右側の釈迦が左側の多宝仏に「ツッコミ」を入れているみたい。実物はかなり小さい。

おそらく普通(?)の仏像ファンが特に目を惹きそうなのは、慶派の定慶(肥後別当定慶ではない)作の『帝釈天立像』(鎌倉時代)ではないだろうか。これはもともとは興福寺にある梵天と組になっていたそうな。興福寺には、もう一組鎌倉時代梵天帝釈天があるからややこしい……。

頭が大きめで迫力がある。帝釈天の写真はネットには見つからなかったのだが、興福寺梵天ならあった。
木造梵天立像(もくぞうぼんてんりゅうぞう) | 「国宝」「重要文化財」 | 文化財 | 法相宗大本山 興福寺

個人的に一番気に入ったのは、中国・唐時代の花塔寺(宝慶寺)の『十一面観音立像龕』。美形でプロポーションがよろしい。石灰岩でもこんなきれいな彫刻ができるんだなぁ。
十一面観音立像龕|根津美術館

もちろん仏像以外の展示品も多く、一番の見どころは『金剛界八十一尊曼荼羅』だろう。曼荼羅の見方を知っておくとより楽しめそうだ(私は詳しくない……)。
金剛界八十一尊曼荼羅|根津美術館

朝鮮の高麗時代の仏画は今まで見たことがなかった。3点ほどあって、いずれも胸に「卍」印が付いていたのが印象的。
阿弥陀如来坐像|根津美術館