『紅の豚』(1992年)

紅の豚 [DVD]

ヒロインが大人の女性(ジーナ)という宮崎駿作品の中では異色作。ジーナ役の加藤登紀子の声のセクシーさには驚いた。

とはいっても本作品でトリックスター的な大活躍をするのは10代の若い女の子(フィオ)で、そういった意味では従来の宮崎駿作品とあまり変わらないのかも。

大活躍するわりには、このフィオの扱いがちょっと不遇かなと。まず映画の予告編には一瞬しか出てこないし、サントラアルバムのジャケットなどにも彼女は登場しない。見た目もあまりオーラがなくて、この映画に初めて登場したとき、私はまさかこの娘がこのあと大活躍するとはまったく予想していなかった。ただ、飛行服(?)を着たときはナウシカそっくりになるね。

舞台は第一次世界大戦後のイタリアなのだが、登場人物がまったくイタリア人に見えないのが面白い(主人公マルコ(通称ポルコ・ロッソ)の好敵手カーチスが唯一イタリア人っぽいが、彼はイタリア人のクォーターとのこと)。宮崎駿の描く外国人はゲルマン系っぽく見えることが多いと思う。

この物語は当然フィクションなのだけど、あれから彼らがどうなったのか思いを馳せてしまう。この後また大きな戦争があったしね。年齢的に、もういまは皆この世にはいないのだなぁ。

さて主題歌は、加藤登紀子が作詞・作曲し自ら歌っている『時には昔の話を』。この映画に合っていると感じた。なんてったってジーナさん自身が歌っているわけだし。

その他の音楽は、例によって久石譲。サントラはホルストの『惑星』っぽく始まる。代表曲は『帰らざる日々』(イメージアルバムだと『マルコとジーナのテーマ』)かな。