横浜美術館 「失楽園 風景表現の近代1870-1945」
横浜美術館は初めての訪問だったのだが、デカくて立派な建物だね。企画展も思っていたより規模が大きくて、最後はちょっと時間切れ気味になってしまった。
企画展の内容は、ヨーロッパ、アメリカ、日本・アジアにおける、19世紀後半から第二次世界大戦までの風景画・風景写真についての紹介。とにかく多彩な内容で、とても一言では総括できない。
まあこの時代にはそれだけいろんなことがあったってことかな、2つも大戦が起こったし…(と無理やり纏めてみる)。
企画展は、大きく以下の6つに分けて展示してあった。
近代都市パリの形成と風景表現
いちばん有名どころが揃っているのはここのセクションだろう。ルノワールとかモネとかセザンヌとか。そんなに有名でない人*1の作品でも、大きくて見応えある作品が多かったように思う。
ここで時間を食ったせいで、後が寸詰まりに…。
帝都東京の成立と風景表現
次は日本。菱田春草のような日本画もあり、岸田劉生のような洋画もあり。
遠くから見ても存在感があったのは、佐伯祐三の「下落合風景」。電柱がある風景は「日本」という感じになるなあ。実は電柱にも風情があるのか?(笑)
近代都市パリの成熟と「地方」への関心*2
ここで言う「地方」とは、主に植民地のこと、アジアとかアフリカとか。植民地政策を賞賛したり非難したりといった論争があったようだ。また、シュルレアリスムはこの時代。
ちょっと記憶が薄れていて具体的なコメントが出来ないが、ここもなかなか印象的な絵が多かったと思うよ。
帝都東京と作られた「地方」
ここの「地方」は、日本の植民地だった朝鮮や台湾、満州のこと。
日本に併合されている頃の朝鮮の人の絵画作品を見ることはあまりないと思うが、意外に興味深い作品が多かった。
それにしても、だんだんイヤな時代になっていくわけで…。
大量殺戮と廃墟−第二次世界大戦末期の戦争風景*3
で、ついに戦争です。ここは、日本の焼け野原の写真やナチスのホロコーストの写真ばかり印象に残っている。黒焦げ死体が写った写真とか。。
こういう写真を見ると、なぜか怒りが込み上げて来る。つくづく、戦争ってヤツはどうしようもないヤツだなと…。戦争って、スターウォーズやガンダムのように、敵の弾がなぜか当たらなかったり、死ぬときも英雄的に死んだり、…そういうものじゃないんだ。人が虫けらみたいに簡単に、カッコ悪く、無残に死んじゃうんだよ。
それにしても、こういう写真って、美術作品と言えるのかな?
そうそう、向井潤吉の「影(蘇州上空にて)」という何とも独特な作品があった。蘇州上空の街並みに、飛行機の影が掛かってる作品。なぜだか、暗ーい気持ちになる作品だ。写真だと思っていたが、油絵なのか!
http://www.yma.city.yokohama.jp/kikaku/fukei/