週刊日本の仏像 No.47「木喰仏と甲斐善光寺の阿弥陀三尊」

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木喰―庶民信仰の微笑仏 生誕二九〇年
木喰は61歳のころから仏像を彫り始め、93歳(!)まで生きた。木喰と言うと丸顔でファンシーな仏像という印象があるが、これは最晩年の作風なのか。若い(?)ころは、ファンシー度はそれほど高くない。
中でも気になったのは、70歳代の作品の宮崎県木喰五智館五智如来。丸い大きな鼻が印象的。80歳代の山口県極楽寺釈迦如来は、衣紋の彫りが素晴らしい。ボリュームのある螺髪も独特。
螺髪と言えば、木喰は釈迦如来阿弥陀如来螺髪の意匠を変えているのが面白い。経典等に基づくわけではなく、きっと彼の独創なのだろう。
本誌では、柳宗悦が木喰を「発見」した経緯についての記述もある。柳宗悦の大きな功績のひとつだね。

本誌のもうひとりの主役が、甲斐善光寺阿弥陀三尊像鎌倉時代・重文)。信州善光寺の絶対秘仏の本尊を模した仏像の中でも最も古く、かつ例外的に大きいものだそうだ。
善光寺式三尊と言えば、三尊で一つの光背を背負う「一光三尊像形式」。甲斐善光寺のものは、光背を亡失しているのが惜しいね。ただ、本尊の阿弥陀如来の「タレ目」(?)が印象的なこともあり、この三尊像はなかなか味わい深いと思うよ。