不退寺

ここからは佐保路を回る。いったん近鉄奈良駅に戻って、そこからバスに乗ってまずは不退寺。近くからじっくり仏像を拝観できる。
ここの主役はやはり聖観音菩薩立像平安時代・重文)で、いわゆる「佐保路の三観音」の中でも一番大きい。極彩色が施されているが、彩色の剥げ具合が痛々しいのがなんとも残念なんだよね。
案内係の早口のお坊さんに伺ったところ、この聖観音は昔は秘仏で、数十年に1回くらいしか開帳されなかったらしい。今の彩色は江戸時代くらいの後補で、巻かれていたさらしを明治時代に外したらこんな風になってしまったそう。江戸時代の彩色の質が悪かったんだろうなぁ。
また、平安時代五大明王(重文)がそろっているのも貴重である。降三世明王*1が何も踏んでいないのが気になったが、どうやら台座は後補でもともとは通例どおりシヴァとウマを踏んでいたらしい。不動明王の台座や光背は当初のものだそうな(台座の一部に鮮やかな彩色が残っている)。
不退寺は在原業平の建立で、聖観音菩薩立像は業平の「自作」とのこと。まあこのへんは、深く突っ込むのは野暮なのかな。そうそう、柴門ふみがイラストを描いた瓦があった。

*1:降三世明王は三面八臂が一般的だが、これは四面八臂。