国立新美術館「没後120年 ゴッホ展 こうして私はゴッホになった」

「没後120年ゴッホ展ーこうして私はゴッホになったー」のすべてを楽しむガイドブッ (ぴあMOOK)

平日だけど、終了間際ということもありけっこう人が多かった。これは週末に行くとたいへんなことになりそうだ。
本展は名作をそろえた展示いうよりは、ゴッホの成長の軌跡が分かる展示といえる。彼は27歳というそう若くない年齢で画家を志し、37歳で死ぬまでのわずか10年の間に偉大な画家になったのであった。
本展の目玉は、『アルルの寝室』を実際に会場に再現した展示なのだろう。できれば実際に部屋の中に入って、椅子に座ってみたかったところ。
Bedroom in Arles - Google 検索

個人的に印象に残ったのは、『緑の葡萄畑』という作品。空と畑の対比が美しい。
Gogh The Green Vineyard - Google 検索

ゴッホに影響を与えたであろうゴッホ以外の作品も展示してあって、クロード・モネの『ポール=ドモワの洞窟』が見られたのはよかった。水面の描写が美しいこの作品名は、本当に目の保養になるなぁ。
ポール=ドモワの洞窟 - Google 検索

国立新美術館「未来を担う美術家たち DOMANI・明日展2010」

はこにわ虫

文化庁が若手芸術家を海外に派遣する制度があるんだそうで、本展はその芸術家のうちの12人の作品展である。
まず、以前から気になっていた流麻二果の作品が見られたのがよかった。色遣いがきれいな作品。遠くから見たほうがいいかも。

また、古郷秀一の『限定と無限定』が良かった。針金みたいな鉄の棒を組み合わせてグラデーションをつくっている感じ。つくるのが手間だろうなぁと思って調べてみたら、もっと大きな作品もあるのか。すごいな。

近藤聡乃の『てんとう虫のおとむらい』というアニメーション作品は、なんとなく見入ってしまった。この人の漫画の画風は昭和風。

あと、本展のグッズ売り場はなかなか面白い。

東京国立博物館「東大寺大仏―天平の至宝―」

古寺をゆく 5 東大寺 (小学館101ビジュアル新書)

とりあえず仏像については、快慶の作品が多く来ていた。僧形八幡神坐像(国宝)は、右手の小指が立っているのが気になるなぁ(汗)。

俊乗堂の阿弥陀如来立像(重文)は、スタイルが良すぎて華奢に見えてしまうが、正面から見たときの顔のつくりはあまりにも美しい。さすが快慶。

最後の展示は、アフロヘアの五刧院の五刧思惟阿弥陀坐像(鎌倉時代・重文)。もちろん快慶作ではない。もうひとつの東大寺の五刧思惟阿弥陀とは異なり、合掌手は衣に隠れている。
それにしても、五刧思惟阿弥陀はなぜ顔がパンパンにむくんでいるのだろうか。長い間思惟するとそうなっちゃうものなのかな。

そのほか、本展では「バーチャル大仏」というコンピューター技術を駆使した映像作品があるのだが、なんとなく新興宗教っぽい怪しさ(?)を感じたなぁ。

そうそう、東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学保存修復彫刻研究室の人が、東大寺の塑像の月光菩薩の複製についての発表を行っていた。小さい複製だがよくできている。

金沢文庫「仏像のみかた」

金沢北条氏の研究

久しぶりに来た金沢文庫。まずは、横須賀・大善寺の伝・毘沙門天立像(鎌倉時代)が大きく展示されていた。中尊寺金色堂様式の仏像なのだそうな。

不動明王といえば髪型はたいていオールバックもしくはくるくるパーマなのだが、称名寺不動明王鎌倉時代)は前髪を下ろしている。ちょっと若くてかわいらしい。
称名寺にもいわゆる清涼寺式釈迦如来立像(鎌倉時代・重文)があるが、清涼寺式釈迦の模刻像はどうしてもニセモノっぽくなるんだよね(汗)。真似するのが難しい顔の造形なのだろう*1。院派の仏師の院保の作だそうな。
その釈迦如来の眷属の十大弟子立像(鎌倉時代)は、ひとりを除いて全員不機嫌そう、もしくは性格が悪そうに見えてしまった……。

称名寺の庭園も久しぶりに見た。紅葉にはまだちょっと早いか。池にかかる橋がちょっと雰囲気を壊している気がしないでもないが、昔からああだったっけ?

*1:もっとも、清涼寺の釈迦自体も模刻なのだが。

鏑木清方記念美術館「主情派、清方の美」

鏑木清方随筆集 (岩波文庫)

5年ぶりくらいの鎌倉。修学旅行生なのかな、人が多いね。まずは念願の鏑木清方記念美術館に行ってみた。
むむむ、かなり、狭いんだな。展示作品数も少なく、しかも下書きが多かった。まあ下書きは、特に自分で絵を描く人には参考になるんだろうね。入場料も安いし、ぶらっと寄ってちょっと楽しむなら文句ないです。
とりあえず、『桜もみぢ』を見られたので満足。左のお姉さんは美人だなぁ。ファッションモデルのniuさんみたい。

鎌倉国宝館「薬師如来と十二神将」

芸術新潮 2010年 11月号 [雑誌]

とにかく薬師如来十二神将をいっぱい集めた企画。こういう企画は珍しいね。
一番の主役は、もともと辻薬師堂にあって鎌倉国宝館に移管された薬師如来平安時代)と十二神将だろう。
薬師如来は、地方仏風の下膨れの顔の素朴な雰囲気の仏像。十二神将は4体が江戸時代作で残りが鎌倉時代作だそうだが、江戸時代のものを特定するのは私にはけっこう難しいのであった……。
それにしても、姿勢が多彩な十二神将は仏師の腕前の差が分かりやすく出るなぁと。

宝戒寺、杉本寺、報国寺

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時間が余ったので、少しお寺を回ってみることにした。
宝戒寺は、比較的仏像を見やすいお寺。中尊の地蔵菩薩坐像(南北朝時代・重文)は、院派の仏師・憲円の作だそう。梵天帝釈天も同時代の作で、この時代らしい美形の仏像である。
杉本寺は、急な階段を上りきるだけでご利益がありそう。けっこう疲れる。本尊は、まあ見えません……。
報国寺は、とにかく竹。夏に来たらヤブ蚊が心配。
今日はかなり歩き回ったのだが、さすがニューバランスNew Balance)、あまり疲れを感じなかった。